最近、インソールを入れたいと言われるお客様が増えてきました。
サイズを計測して試履きをしていただいた時に「サイズはこれでピッタリなんですがインソールを入れたいので一つ上のサイズにしたい」と言われることが多々あります。もちろん入れて頂くことは構わないのですが、インソールを入れることによるメリット、デメリットを理解した上で入れていただきたいと靴を作る側の人間は考えております。
中底が革製の靴に関するインソールのメリット・デメリット
ここでご説明するのは私が普段販売しているハンドソーンウェルテッド製法やグッドイヤーウェルテッド製法の革中底の靴に関してになります。
まずインソールを入れることによるメリットからご説明したいと思います。
インソールのメリット
- インソールを入れることの一番のメリットは、足のサイズと靴のサイズが合わない場合の微調整です。足幅が靴に対して細い場合等に、インソールを入れることによりフィッティングを向上させることが出来ます。
- 次に歩行の補助です。扁平足気味の人や土踏まずがせり上がっている人など足に特徴がある人の場合、インソールを入れて土踏まずを支えて歩行の補助をすることが出来ます。
- また、インソールを入れることによってクッション性を向上させることが出来ます。
インソールのデメリット
- まず一番のデメリットは短靴に関してになりますが、インソールを入れることによってインソールの厚み分だけ踵が上に上がることになり、踵が浅くなり、踵が靴から浮きやすくなります。せっかくフィッティングを向上させるためにインソールを入れても本末転倒になりかねません。
- さらに踵が浮きやすくなるために踵のライニング(裏革)が擦り切れやすくなります。
- また、インソールの種類や素材にもよりますが、革中底の吸水性を阻害する場合もあり、足が蒸れやすくなる場合もあります。
- そして革中底特有の履いていく内に足の形に沈んで馴染んで来る革靴の醍醐味を阻害してしまうのです
なので足のサイズが合わない場合や足に特徴がある場合を除いては、靴にインソールを入れるのはオススメは致しません。(インソールを入れることを前提に作られている靴は除く)
以上のことを理解した上でインソールを入れるかどうかを検討してみてはいかがでしょう。